生きがい

涸沢の思い出

涸沢(からさわ)ってご存じですか?

スキーに打ち込んでいたころ、
夏休みの1週間を北アルプスの涸沢(からさわ)で
スキーをしてすごしたことがありました。

日本国内にも、8月の上旬に
スキーをできるところがあるのです。

人工スキー場の話ではありません。
北アルプスの、槍ヶ岳や穂高岳という名前を
聞いたことがあるかもしれません。

その穂高岳の稜線に囲まれたところに
涸沢というカール地形の谷(氷河圏谷)があります。
標高の高い稜線にさえぎられた北向きの沢のために
夏場でも残雪が多く残り、
夏スキーのゲレンデとしても有名です。

ただし、ここに行くためには、
上高地から半日歩いて登らねばなりません。

今から30年くらい前には、
ここで、全日本クラスの競技スキーヤーが
夏場のトレーニングをしていました。
(今では南半球に行くのでしょうが)

もちろん、リフトなどはありません。
スキー板をかついで30分歩いてのぼって
たった30秒ですべりおりてしまうというスキーです。

ただすべっても面白くないので、
回転競技の旗を立てます。
途中でこけてしまったら、
30分歩いて登った努力がムダになるので
みな真剣にすべります。

1本のすべりの集中度がちがってきます。
登るときに脚力も鍛えられるので
一石二鳥にも三鳥にもなるというわけです。

しかし、さすがに空気の薄いところで
板をかついで30分も登るのはかなりのハードワーク。

午前中に5本もやったらもうヘトヘトです。
昼飯を食べて昼寝をして、
午後にもまた5本。
これだけで、ものすごい充実感を味わえます。

あとは、ひと風呂浴びて夕飯とビール。
標高が高いと、お湯が沸くのも早いですが
アルコールに酔うのも早いのです。
すべって、食って、飲んで、寝て、
毎日それだけ。

でも、あれほど充実していた一週間は
なかったなあ!